
MBAは「世界で通用」する学位です。しかし、必ずしも「世界共通」ではないことが、OBSで学び、成長するためには大切なところです。
世界各国、各地のビジネス・スクール、どこに通ったとしても、経営学の基礎知識、基本的な分析フレーム・ワーク、論理的思考力などを実践的に学ぶことになるでしょう。いわば、MBAホルダーの共通言語となる部分のトレーニングです。しかし、個々人の特性の違いは言うに及ばず、一緒に学ぶメンバーの多様性、国や地域ごとに抱える課題の違い、各ビジネス・スクールに固有の設置目的の違い、カリキュラムの違いなど、各ビジネス・スクールにはカラーがあるため、学びの成果は世界共通とはならないのが常です。
そこでOBSで学ぶ皆さんには、MBAホルダーの共通言語を身につけるだけでなく、北海道だからより良く学べる、OBSだからより良く学べるテーマや問題意識を持ち、日々の研鑽に励んでいただきたいと願います。
北海道は全国を上回るペースで少子高齢化が進み、労働力不足、公共交通機関の縮小など様々な課題先進地でありながら、他方では世界でも競争力のある大自然に支えられた食と観光資源に恵まれたブランド力のある地域であり、加えてここから数年は半導体とその周辺産業への空前の投資が見込まれる、ビジネス・チャンスに溢れた地域でもあります。そしてOBSは、小規模ゆえに教員と学生、学生同士、修了生と学生の距離感が近いことも大きな特徴であり、これまでに約700名のMBAホルダーを、北海道を中心とする国内外へ輩出し、リクルーティング、ビジネスでの取引、共同事業開発、起業、共同研究など、様々なシーンでそのネットワーク力を発揮しています。
世界的に有名な理論は、すぐに話題になりますし、AIで出典と要約を同時に検索するなどすれば、世界のどこにいても概要は学べます。 世界的に著名な企業やユニークな国内企業の取り組みは、マスコミやネット・ニュースなどで報じられるため、どこにいてもその概要を知ることができます。しかし、世界における北海道の社会環境を文脈としながら、国内外の優れた企業の成功事例や失敗事例を、基礎的な理論から先端的な理論まで駆使して分析し、多様なメンバーと対面で多くの議論を交わしながら学ぶこと、その学びの成果をMBAのネットワークを活かして北海道やそれに似た世界の他地域へ実装していくこと、これらが世界のどこよりも可能な場はOBSです。
OBSは、アントレプレナーシップ溢れる人物の育成を目指しています。世にまだない新しいチャレンジをすることは、常識の範囲の外側に踏み出すことであり、それが成功したとき、事後的に「他より一歩先を行く」ことになります。踏み出すことなくして、一歩先行くことはありません。むやみやたらに踏み出すのではなく、OBSでの確かな学びを経て、一歩踏み出す。MBAの共通言語で常識の範囲を学びつつ、OBSで学んだから見えるその一歩外側へ。OBSから北海道を中心とする世界の常識の一歩外側へ。OBSはそんな情熱を持っているあなたを歓迎します。
アントレプレナーシップ専攻長
猪口 純路